まずい。
録画鯖の第1回冒頭に我が家ではあまりテレビを見ない、という話を載せた。見たくないのではなく、見る時間が無い、というのがその理由なのだが、「見たら消す」という方針を掲げた時点で「見る」ことをしないと「消す」ことが無いため、「見る」ことを消化するスピードが遅い現時点では、録画した番組は消されずに残り続けることとなる。
この結果どうなるか。2TBという、数年前は個人ユーザとしてはあまり考えられなかった大容量のストレージスペースがあふれ返るのである。
一言で言うとHDDが一杯だ!というわけである。
tsファイルはストレージの大食い
録画鯖の運用を始めて1ヶ月で2TBのHDDはtsファイルで埋め尽くされた。ただ、運用開始後2週間で「これは溢れるな」というのは当然予知できていたため、その対策を考えていた。
HDDの容量が足らないときの対処方法は、
1.不要なファイルを消す
2.ファイルを小さく(圧縮)する
3.容量を増設する
といったところであるが、
まず
1が出来ないので困っている訳で、録画した番組を視聴せず削除することは録画鯖の存在意義に反するので無し。
3は安易に増やしたところであふれかえるのは目に見えている。
というわけで2をまず行うこととした。その上で3を考えることにしよう。
機材の調達
筆者がアナログキャプチャを行っていた数年前は、動画圧縮といえばMpeg2またはDivX、XviD、WMVであった。現時点で汎用のフォーマットといえばやはりMPEG-4 AVC/H.264であろう。H.264での圧縮環境はフリーソフトからハードウェアエンコーダまで様々な形態が選べる。バッファローからはH.264ハードウェアエンコーダが搭載された地デジチューナーまで出ている。正しく現時点では主流の動画圧縮方式であろう。
動画圧縮はPCにとってリソースを大量に消費する作業である。筆者の本来の録画サーバの目的、即ち録画し、録り貯めたものをPS3にフィードするという作業の支障になっては意味が無い。お財布にはあまりやさしくないのだが、ソフトウェアエンコードは選択肢から外した。録画鯖構築時のハードウェア選定でも触れたが、ハードウェアエンコーダであるLeadtekのWinFastR PxVC1100を購入し、ハードウェアエンコーダをドライブするソフトウェアとしてTMPGEnc 4.0 XPress及び、TMPGEnc Movie Plug-in SpursEngineを購入した。
さて、ハードウェアのセットアップは、空いているPCIe x1スロットに挿し、フロッピードライブ用の電源を接続して完了だ。残っているのはx4のスロットのみとなった。
ソフトウェアについてもセットアップウィザード通り進めば問題なく終わる。インターネット経由でのアクティベートも問題なく完了した。
早速圧縮する
世の中にはエンコ職人といわれる人たちがいる。表示品質を保ちながら如何に小さいファイルサイズ(または低いビットレート)にする技術をもつ人たちのことだ。この人たちは、録画した番組を"永久保存"するために放送局のウオーターマークを消し、アニメ等であれば逆テレシネ処理を施し、エンコード時間が実時間の5倍や10倍になることを厭わない。即ちエンコード処理結果に時間と命を賭ける職人である。実際に職人の「作品」を見るとその技術には驚かされるし、掲示板の書き込みを見ると知識や経験もハンパではない。一朝一夕では手に入らない技術だ。ただ、今回の目的はHDD容量節約のための圧縮ではあるのだが、永久保存版というわけではないし、パラメータを変えて何度もエンコードするような余裕もPCリソースも無い。そもそもTMPGEnc 4.0 XPressでPxVC1100をドライブする際は1パスでしか使用できないことを考えると、単純にエンコード時に指定するビットレートをいくつにするのか、という話に終始するしかない。
ではVBR(バリアブルビットレート)でエンコードするとして、ビットレートをいくつに指定するのか。
筆者の環境での細かい検証は別の記事に出来そうなので別の機会とする。今回は「AviUtl(x264)画質比較(実写) ビットレート編」のサイトの記事を拝見し、5000kbpsと決定した。筆者は基本的にものぐさなので映画だろうとスポーツだろうとアニメだろうと一律5000kbpsでひたすらエンコードすることにした。
試しに一つエンコードしてみる。元のファイルは地デジNHKの情報番組で、
解像度:1440x1080
長さ:29分59秒
ファイルサイズ:3.524GB
というものだ。これを5000kbpsの1パスでエンコードした。その結果、
ファイルサイズ:999MB
エンコード時間:19分27秒
となった。
ファイルサイズは元ファイルの30%弱、エンコード時間は実時間に対して65%弱だった。CPUは100%に張り付いているが、エンコード時のプロセス優先度を下げているため、録画に対しての影響は無かった。実際上記エンコード時は裏で録画を1番組行っていたが録画されたものに影響は無かった。
肝心の品質は、、、波打つ水面や小枝の先の葉が揺れるような絵でも大きく破綻することはなく、一目でHighDefinition映像とわかる粒状感が残るものになった。上下左右に物体がパンするもの、右から左に流れるテロップなどはカクつくが、まぁ許容範囲とする。
筆者としては満足行く結果となった。これでひたすら圧縮していくとしよう。単純計算だが3倍強のコンテンツを貯められる。ただしそれでも3ヶ月分だ。ファイルが減っていかない場合、上で書いた対策3を考えなくてはならない日が来るのは明白だ。
が、まずは現状のtsファイルをmp4に変換することに専念しよう。ついでにCMカットを行いながら。