録画鯖プロジェクト、今回はソフトウェアの選定を行う。
OSはWindows7
まずOSであるが、軽いXPでもよいのだが、サポート打ち切りについてもアナウンスされているため、今後数年間の運用には耐えられないと判断。最新OSであるWindows7をチョイスした。Windows7であれば、サポートについては暫く問題がない。また、DLNAサーバ/クライアントの実装や、標準で再生可能なコーデックの多さなど、利点が多い。32ビットか64ビットかについてだが、現時点では32ビットの方がアプリケーションを動作させるに当たってドライバの安定性や市場でのアップデートも速い。32ビットユーザの数もまだまだ多いためだろう(今後緩やかに64ビットへ移行していくと思われるが)。また、XPモードなどは不要だし、NTドメインの管理も行っていないためエディションはHome Premiumとした。今回はHDDとの同時購入のため、DSP32ビット版を選択した。
視聴アプリケーション
さて、いくらサーバであろうとも、その端末で視聴するケースは、テスト用途として考えられる。サーバからモニター、キーボード、マウスを外し、アンテナ線とネットワークケーブルと電源だけを供給しながら稼動させることは暫くないだろうが、ネットワーク上からリモートデスクトップやVNCなどで接続して視聴そのものを行うことも(実用的かどうかは別にして)あるだろう。視聴用のアプリケーションは必要だ。
採用した視聴アプリはTVTestというものだ。何だか動作確認用のテストアプリのような名前なのだが(実際そうなのだろう)、売り物にしてもよいくらいの機能を誇る。たくさんのユーザに使用され、安定性もよいだろう。下手なメーカの機器に添付されているアプリケーションよりは非常に使い勝手がよいという。
録画アプリケーション
録画が目的のサーバであるため、当然録画用のアプリケーションが必要だ。採用した録画アプリはRecTestという。上記のTVTestと名前が似ているが、RecTestはTVTestの姉妹アプリであり、TVTestからイメージ表示領域を取り払ったようなUIである。シンプルだが機能的で好感触だ。
録画マネージャアプリケーション
録画アプリケーションのRecTestはあくまでも録画機能を持つに過ぎない。時間が来たら録画ボタンを押し、番組が終了すれば停止ボタンを押す必要がある。これでは意味がないし、見たい番組が放映されている時間に家にいない、という当初の問題に対して本末転倒だ。したがって、ビデオのタイマー予約(筆者が古い人間だ、というのがわかってしまうが)の様なアプリケーションが必要なのだ。ただし、今はビデオのタイマー予約の時代とは違う。現在のブルーレイレコーダやDVDレコーダにはEPG機能が付き、番組表をテレビで見ながら予約するのが当たり前の機能になっているし、機種によってはキーワードを登録することによって自動的に番組情報から登録キーワードに合致する番組を拾い出し、録画するものもある。このような現代の予約機能をもったアプリケーションを採用したい。
採用した録画マネージャはTVRockという。使い勝手がとてもよく、Webサーバ機能を内蔵していて外出先からでも録画予約ができると評判である。キャプチャ1台、チューナー8台、ビデオレコーダー4台の合計9台の録画予約を同時に行え、他のマシンにインストールしたTVRockと連携することも可能だ(上記の数字はアプリケーション上の管理最大数であり、他PCと連携しても最大上記の数値となる)。
EPG情報を電波から受信し、新聞のテレビ欄と同様の番組表を内蔵Webサーバ経由で提供できる。PCやフルブラウザを持っている携帯、iPhoneなどから外出先からでも参照でき、録画予約が可能なのである。EPG情報の更新を定期的に行っておけば、野球中継のとばっちりで放送時間変更となっても自動追従までしてくれる(最新バージョンは自動更新機能が付いているようだ)。どこかのメーカーの家電レコーダにも見られるキーワードによる自動録画機能もある。キーワードを登録すれば自動的に番組表からマッチする番組が予約される。キーワードは正規表現に対応しているため、複雑な条件での録画予約も可能だ。iPhone用の録画予約インターフェースを持っているのもマルである。
とにかく外出先でも録画できるのはすばらしい。友達と飲み屋で会話していて「そういえば今日~chで~~やるよね?」のような話が出てもその場で録画予約できるのである(別に飲み屋ではなくてもよいのだが)。録画予約のみならず、外出先から予約キャンセルなども可能なのである。S-VHSビデオ以降レコーダという家電を買った事がない私にとっては夢の様な機能なのである。(周りの人にとっては普通かと思うが)
撮ったら見る
番組を録画するだけの人は非常に少数だろう。録画したら、当然録画したテレビ番組を観ることになる。観るのは録画予約同様、筆者のみならず嫁も見ることになる。視聴に当たって複雑な操作は禁物だ。嫁に対して「録画サーバーから○×アプリを立ち上げて、このフォルダにあるファイルを読み込めば観れるよ」と言おうものなら張り倒されるであろう。観たいときにはすぐ観れるよう、少ない手順である必要がある。筆者宅にはPS3があり、普段嫁がDMM.comで借りてきたDVDはPS3で観ているため、XMBの使用方法については一応は分かっている(そもそもブルーレイを観たくてPS3を購入した。筆者宅には現時点でPS3ゲームは無いのだが、北斗無双は面白そうだ)。PS3を通して録画済みの番組が観れればストレスは無いであろう。
となるとDLNAサーバ機能を持ったアプリケーションを使用するのが手っ取り早いと思われるが、DLNAサーバは色々存在する。Windows7は標準でDLNAサーバ機能をサポートしているし、TVersityなども有名だ。しかし相手はPS3である。ここはPS3 Media Serverをチョイスした。DVD ISOもフィード可能ということが大きな理由のひとつだ。
PS3システムソフトウェアはウェブブラウザを内蔵している。PS3のブラウザを経由してTVRockの番組表にアクセスできるのである。録画予約やキーワード登録もPS3からできる。録画予約と録画番組の視聴の一連の動作がPS3で完結する。これは妻にとって大変意義が大きいのである。
ウィルス対策
常時稼動のサーバである。ウィルス対策ソフトも必要だ(サーバでなくても必要だが)。今回は筆者宅で3 Userライセンスを購入してあるMcAfee Anti-Virus Plusを導入した。3ユーザ(3PC)で1年間5千円台なので一台あたり年間2千円以下。コストパフォーマンスはよい。最近はフリーのものもあるが、性能はどうなのだろうか。そのうち検証してみたい。
要件に対し十分か
前回残った以下の二つの要件
2.録画したものがPS3でHD画質で視聴できる事
3.録画予約が妻にとって容易であること
は上記アプリケーションの選択によって満たされることとなった。
IOデータやBuffaloのようなサードパーティ周辺機器メーカーの機器ではマニュアルが整備され、ドライバや、その機器を最大限活用できるようなアプリケーションが同梱されているものだ。しかしPT2にはそれがない。ドライバCDもマニュアルも何もない、裸の拡張カードのみなのだ。したがってドライバやアプリケーションはネットから探し、使用する必要がある。この辺がPC初心者のPT2への敷居を上げている原因なのだが、幸いネットにはたくさんのリソースがあり、容易に入手が可能だ。
買っても渡されるのはこれだけ。CDもマニュアルも付属物は何もない。自分で調べ、自分でダウンロードし、セットアップするしかない。トラブルが発生しても電話する相手(サポートセンター)もないのだ。
24時間稼動のマシン上で動作するアプリケーションなのだから、安定性に優れ、確実に録画できるアプリケーションである必要がある。メモリリークは少ないに越したことがない。しかしそこは有志個人の開発したアプリケーションである。フリーであるがゆえ、沢山のユーザがフィードバックを行うことで、メーカソフトウェアでは考えられない対応の速さと安定性を発揮しているのである。個人の、無限ではないプライベートの時間を使い、このようなすばらしいアプリケーションを開発したTVTest、RecTest、TVRock、PS3 Media Serverの開発者の方角には足を向けて寝てられない。ありがたく使用させていただく。
さて、基本構想からハードウェア、ソフトウェア選定までを行ってきた。いろいろ考えていくと夢が膨らみ楽しい。もの作りが好きな筆者である。実際に早く部品を手に入れ、セットアップを行って行きたいと思う。